羽生結弦選手の金メダルについて、いちファンとして考えてみる。
2月16日、17日の素晴らしい演技と感動から、はや3日。
まだ、気持ちがちょっと高まっているような気がします。
スピードスケート小平選手の金メダルはぐっとくるものでしたし、アイスダンスのかなクリも素晴らしい演技だったし。なんかもう、ウィンタースポーツのことだけ考えて生きていきたいくらいです。
なので、ちょっと考えてみました。
もし、もし羽生選手が金メダルじゃなかったらどうなっていたんだろう?って。
そしたら、考えれば考えるほど、「金メダル以外許されない」状況だったんだという事を確信するようになりました。
まず、右足のケガについて。
表彰式の後、羽生選手は「痛み止めなしでは跳べない状況である」ことを会見やメディアで告白しています。
ケガの状況を自ら細かく語り、「本当は治っていなかった」ことを告白する。
それは、気迫の演技、魂の演技で金メダルを獲得した今だからこそ許される告白で、もしもメダルが取れていなかったら、もしもジャンプが決まらなかったら、彼はこの状況を世間に告白することも許されなかったんじゃないかと思うのです。
なぜなら、彼は全日本選手権に参加せずオリンピック代表に選出されているから。
もちろん、ケガという「やむを得ない事情」があり、前年の世界選手権優勝・世界ランク1位、ショート・フリー・総合すべてで世界最高得点の保持者。選考基準はきちんとクリアしていて、フィギュアを知っている人なら、彼の代表選出が当然のものであることはわかっています。
でも、そんな状況で選出されている以上、「やっぱり治っていませんでした」が許されるのは、結果を出した時だけだった。
容易に想像がつきます。
メダルを取れなかった。実はケガが治っていなかった。そうなったとき、報道や世間が彼にどんな反応をするか。
羽生選手だけでなく、羽生選手を代表に選出したスケート連盟に対しても、猛烈な批判が飛んでくる。それを回避するには、ケガが完治していないことを話すわけにはいかないと。
そして、羽生選手はどんな場面でも言い訳をしません。
目標にしてきたのは、金メダルただひとつ。それ以外はおそらく、彼にとって敗北に違いなかった(櫻井翔君のインタビューでも、金メダル以外は敗北と答えていますね)。
「敗北」した状況で、彼は絶対に自分のケガを語らなかったでしょう。
取材に対して、「足の状態が良くない」と答えられる。それは、このオリンピックに向けて背負ってきた大きな大きな荷物を、やっと降ろすことができた証です。
うん。……よかった。
そして、先日記事にした羽生選手の記者会見での発言をみれば、精神状態は本当にぎりぎりまで追い込まれていたことがうかがえます。勝負、という意味でのメンタルとは少し違う方向から、心を痛めていたんだなぁと。アンチ、嘘のような報道、いわれもない批判、誹謗中傷。
羽生結弦選手、2018年2月18日の素晴らしき記者会見全文。かなえた夢の、その先へ。
競技に命を懸けて、ひたすら努力を続けているのに批判を受ける。それがどんなにしんどい事か。
もし金メダルを取れなければ、たとえ銀メダルだったとしても、羽生選手は自分を許せなかったでしょう。そして世間も、大なり小なり様々な批判を浴びせたはずです。
「傷ついている」
それをカメラの前で話すような心理状況だったことは考えれば考えるほど胸が痛みますが、話したことで、彼の味方はさらに増えました。
黙らせるには、勝つしかない。
勝つことが自分を守る事。
本当の気持ち、状況を話せるのは、勝った時だけ。
そう思うと、やっぱり羽生選手は金メダル以外許されない状況にあったんだな…と感じます。
最後に、話がちょっと変わりまして…。
技術的な面で考えた時、今回の金メダル最大の立役者は「4回転サルコウ」だったんじゃないかなぁと思いました。個人的に。
ソチのフリーで、苦い思い出となった4回転サルコウ。
ショートの冒頭で羽生選手に力を与え、フリー冒頭では加点3の素晴らしい出来。そして誰もが心配して見守ったフリー後半の4回転サルコウ-3回転トウループが決まった。
4回転ルッツと4回転ループはあきらめざるを得なかったけれど、サルコウが美しく決まったことで基礎点の差はほぼカバーされる結果になりました。
サルコウさんから羽生選手への、「ここまで本当に頑張ってきたね」っていうご褒美だったんじゃないかなって思います。
もちろん、ズッ友トリプルアクセルさんも超絶ナイスアシストでした。ショートで加点3、フリーでは直前に抜けたコンビネーションをきっちり捕獲。いい仕事してます。
でも、やはり今回はサルコウだったな、と。
…ということで。ありがとう、サルコウさん。
次は、宇野選手についてちょっと考えてみようかな、と思います。天然キャラですっかり人気になってしまって、前から昌磨くんファンの友人が嘆いていましたので…。
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